sign128_128ビジネスローン審査は、スコアリングシステムというプログラムで自動的に決算書の評価が計算されるものです。システムで審査結果が出るからこそ、ビジネスローンは最短即日融資というようなスピード融資が可能になるのです。今回はビジネスローン審査と決算書の関係について解説します。

ビジネスローン審査のスコアリングシステムの実情

ビジネスローンと一言で言っても

  1. 銀行が提供しているビジネスローン
  2. 大手消費者金融が提供しているビジネスローン
  3. 中小消費者金融が提供しているビジネスローン

の大きく分けて3種類のビジネスローンがあると考えて良いでしょう。

スコアリングシステムというのは便利なシステムですが、当然導入するためには大きな設備投資が必要になります。

そのため、「ビジネスローンはすべてスコアリングシステムで審査をしている。」と考えるのは大きな間違えなのです。

大手企業、大手銀行の場合はビジネスローンはスコアリングシステムで審査をするケースが多いのですが、中小企業規模の消費者金融の場合は、アナログで審査の担当者が決算書を審査するケースがあるのです。

ビジネスローン審査のスコアリングシステムで見られる決算書の指標とは?

ビジネスローンでのスコアリングシステムが採用する指標は、銀行や金融機関ごとに異なります。

しかし、一般的には、とくに銀行ビジネスローンの場合は、下記のような指標で評価されることが多いのです。

PL項目

経常利益率

売上に対して経常利益がどのくらいあるか?

標準:1%~3%
優良:5%以上

インタレスト・カバレッジ・レシオ(営業利益 / 支払利息)

どの程度余裕を持って営業利益で借入金の利息をまかなえているか?

標準:2倍~3倍
優良:20倍以上

売上高伸び率

どのくらい成長している企業かどうか?

BS項目

流動比率(流動資産 / 流動負債)

1年以内に返済すべき負債に対して、すぐに現金化できる資産がどのくらいあるのか?

標準:120~150%
優良:200%以上

自己資本比率(自己資本 / 総資本)

総資本(総資産)のうちどの程度が自己資本でまかなわれているか?

標準:20~30%
優良:50%以上

固定長期適合率(固定資産 / (固定負債 + 自己資本))

固定資産に投資した資金が長期資金でどれだけまかなわれているか?

標準:50~80%
優良:100%以上

ギアリング比率(レバレッジ比率)

自己資本に対する負債の割合がどのくらいか?

標準:100%以下
優良:50%以下

PL項目/BS項目

債務償還年数((有利子負債残高ー正常運転資金)/キャッシュ・フロー)

返済義務のある借入金から運転資金を除いて、今のキャッシュフローが続いた場合何年で負債が亡くなるのか?

標準:20年以下
優良:10年以下

総資本経常利益率(ROA)(経常利益 / 総資本)

総資本に占める経常利益の割合はどのくらいか?

標準:3%
優良:10%以上

総資本回転率(売上高 / 総資本)

総資本に占める売上高の割合はどのくらいか?

ビジネスローン審査のスコアリングシステムで評価される資産とは?

評価される資産

現預金
受取手形
売掛っきん
有価証券
棚卸資産
固定資産
投資有価証券

評価されない資産

未収入金
前払い費用
短期貸付金
流動資産
長期貸付金
差入保証金
保険積立金
長期前払費用
その他投資
繰延資産

ビジネスローン審査のための決算書の作り方

決算書は会社の成績表のようなものなので、大幅に変えることはできませんが、会計処理の仕方で多少結果が変わってきます。多少ビジネスローン審査や銀行融資を意識した決算書の作り方というのもあるのです。

例えば

減価償却費の計上を制限する

減価償却をすれば損失として計上されるため、利益が減少します。一括償却資産であっても、減価償却資産として定額法を採用すれば見た目の経常利益は増えるのです。

リース契約を活用する

オフィスのプリンターや設備機器などを資産として持つのではなく、リース契約で賃借処理をすれば計上されるのは費用分だけですので、BSが軽くなり、自己資本比率を向上することができるのです。

役員借入金を短期ではなく、長期にする

役員の借入金を短期借入金から長期借入金にすれば、流動負債が小さくなるため、流動比率が改善します。

賞与引当金を計上しない

賞与引当金とは、翌期に支払われる賞与(ボーナス)のうち、当期の負担分を費用として見積計上する時に使用する負債勘定ですので、計上すれば今期の利益は小さくなってしまいます。逆に引き当て処理を行わなければ、利益率が向上するのです。

・・・

挙げていけばキリがありませんが、会計処理の仕方や日常的な経費使いの方法などによって、決算書の見え方が変わってくるのです。

まとめ

ビジネスローン審査ではスコアリングシステムによって決算書の項目が審査されます。

会社の経営状況を変えることはできませんが、会計処理を工夫をすることで多少は決算書がビジネスローン審査が通りやすくなるように見え方も変えることができるのです。

言うまでもありませんが、会計処理の工夫と言うのは架空の数字を入れるものではありません。処理の仕方の工夫であって、事実を変えてはいけません。